(1)半滑走域で航行するものについては、本基準の荷重算定式は理論的整合性が図られているので、長さ50mを超えるものであっても、第2章及び第3章の規定を適用しても問題はない。
しかしながら、長さ50mを超える高速船は、一般には、大型になるほど排水量域で航行すると考えられるので、そのような船はNK鋼船規則CS編の規定によることができることとした。なお、大型船になれば、CS編を適用した方が軽くなると思われる。大型船になるほど、この基準の策定にあたって想定した航行状態と異なることから、当該船舳の船型、船体運動について十分に検討の上、適用する基準の選択、内容の検討及び決定をする必要がある。
(2)大型の高速船は、双胴型のものが多く、本来この種の船舶に対する基準を作成する必要があるが、データの不足により強度基準を与えることができる段階に至っていない。したがって、とりあえず連結部の強度についてのみ最低限考慮することとした。当該部分の設計荷重は、「双胴船連結部の強度計算法についての指針(案)」、NK高速船規則の「検査要領」を参考とすることができる。
(3)高速船について、直接強度計算を行う例は少ないと考えられるが、一応一般的な注意点を掲げた。荷重については、ディープV型の船型で日本近海を航行するものについては、本基準の値が合理的と考えられるので、原則第2章に規定する値を用いることとした。
1.2 定義
1.2.1 高速船
本基準を適用することができる船舶の定義をIMO Resolution MSC.36(63)INTERNATIONAL CODE OF SAFETY FOR HIGH−SPEED CRAFT(HSC CODE)(以下、本解説においてHSCコードという。)に準じて定義した。
1.2.2 船の長さ
登録上の船の長さとは別に本構造基準を適用する場合に用いる強度上の船の長さ(Ls)を定義した。
1.2.4 船首部における上下加速度
高速船の荷重は、一般に上下加速度をパラメータとして設定している。本基準でも従来の基準に倣って船首上下加速度を船底衝撃荷重、船側荷重、甲板荷重及び貨物荷重設定のパラメータとして採用した。
高速船に作用する荷重としては、波浪中の船体運動と波との相対運動により生じる衝撃荷重が最も重要であり、かつ、この衝撃荷重と船体加速度の相関が強いために加速度をパラメータとして用いる。
また、高速船の運航限界が乗員が受ける船体加速度により決まるという側面もあり、乗客や乗員の乗り心地や作業限界も考慮して、また、船の用途に応じた加速度値を設定することとした。
加速度の定義としては、軽構造船暫定基準や軽構造船基準案(RR11)においては、基準
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